令和6年度 施政方針及び予算総括説明

第1章 施政方針及び予算の概要について

1 施政方針について

   令和6年第1回五泉市議会定例会におきまして、新年度予算案をご審議いただくにあたり、市政運営に臨む所信を明らかにし、市民の皆さま並びに議員各位のご理解とご協力を賜りたいと思います。

   ご承知のとおり、輝かしい辰年令和6年元日朝、五泉ではさほどの降雪にならず、偶然にも東の菅名岳から日の出時分に薄雲の中から陽が注ぎ、まさに後光がさしこむ上々な年明けと思ったところでありましたが、その夕刻、お正月をことほぐ団らんの時間に能登地方を震源とする大きな地震が発生しました。震災によって亡くなられた方々のご冥福をお祈りいたしますとともに、被害に見舞われ、未だ厳しい生活を送っておられる被災者のすべての方々に、改めてお見舞いを申しあげます。

   今回の能登半島地震をはじめ昨年夏の異常高温、渇水等の自然現象は私たち人間への脅威であり、私たちが最新の技術やITを駆使しても現時点ではコントロールできず抗うことができません。しかし、私たちは今まで幾多の事象を経験し、そのたびに教訓を得て、対応力、防衛力を蓄積してきました。さらにそこにプラスして、常に新しい着想と発想を、情熱をもって、物事に対処することができる力を有していると確信しております。

   さて、私が市長に就任し2年が経ち、任期の折り返しとなりました。折り返しはよく使われる言葉でありますが、私は任期4年で果たすべく責務として大きな矢印に表すベクトルと思っています。当然そこには過去からの流れや将来へつながる何本もの矢印で構成され、適宜、途中経過、ラップを鑑み、まさにPDCAサイクルを回し続けなければなりません。そういった中で市民の皆さまからの評価や叱咤激励をいただき、「今までと変わりつつある将来へ向かう新しい五泉市」への期待感の大きさに日々、重責を感じ、身が引き締まる思いとともに強烈なプレッシャーとして感じています。

   就任以来、私がこれまで培ったビジネス経験、ノウハウ、知見や多方面の人的ネットワークをフルに活用して、新しい着想と発想を、そして情熱をもって、我こそは五泉のトップセールスマンでありマーケターとして、「訪れてよし、住んでよし」の新潟県一番のまちづくりにまい進してきたところであります。

   令和6年度は、第2次五泉市総合計画後期基本計画の3年目となりますが、長引くウクライナ戦争や国際社会の混迷などによる世界経済の不安定さが日本経済を直撃し、エネルギーをはじめあらゆる物価高騰に歯止めがかからず、去る12月定例会の補正予算編成でも申しあげましたとおり、市民生活において経済困窮度の高域にあり、また、ウィズコロナの中、社会経済活動の活性化やセーフティネットの構築を図る必要があります。

   昨年の施政方針では5つのテーマを重点施策としました。1.少子化の打開、2.人口減少の歯止め、3.市民と行政のコミュニケーション活性化、4.交流人口の促進、5.SDGsへの取り組みを柱としました。

   令和6年度はそれぞれのテーマを深化させた上で、私たちを取り巻く社会や外部環境を直視し、五泉市を支えてくださる皆さまの声に傾聴し、また私が市長に就任しこの2年間、私の心にビビっと直撃し直感的に頭に響くもろもろの課題等を精査し、今年度の重点施策を5つの五泉市づくりの柱として立案をいたしました。

   1つ目は、「こどもどまんなかづくり」であります。昨年来、国が先送りできない国家存亡の最重要課題として本腰を入れて取り組んでおります少子化対策子ども政策でありますが、将来的に、児童手当の大幅な拡充や子どもにかかる医療費、学校給食等の無償化は国が果たすべきもので、いわばナショナルミニマムとして自治体の財政力に関係なく支援されるべきで、今後とも県市長会等へ訴求してまいる所存であります。それを前提にしつつ、子ども社会をどまんなかに据えた一気通貫の体制を構築すべく、子ども・子育てにかかる諸事業を展開します。

   主な事業・施策

     ・出産サポート登録制度の新設

     ・新生児聴覚検査費用の助成

     ・「こども家庭センター」整備のため、保健センター大規模改修の実施設計

     ・こども計画策定、計画づくりのためのこどもワークショップ開催

     ・子どもが自ら未来の五泉市のことを考え、提案するこども市議会の開催

     ・中学生の地域スポーツ・文化活動の体制整備

 

   2つ目は、「健康笑顔づくり」であります。健康は市民の最大の関心事であります。自分自身、家族そして友人知人が健康で・笑顔で、暮らせる・過ごせることがこの上ない幸せであり願いでもあります。市民が健康で・笑顔でいられるように、全世代にわたっての健康づくりにあらゆる場面で取り組んでまいります。文化活動、スポーツ活動、地域活動、ボランティア活動等で身体を動かし頭を使い、笑顔で活き活きと市民生活が送れるように、全庁をあげて力を尽くしてまいります。しかしながら、健康はときに自身の意思に反し損なうことがあります。そのためにも市内に医療機関があることは欠かせません。今後の地域医療体制を維持し持続的に機能するため、今般、医師会や医療関係者と熟慮を重ねてまいりました。医師不足以上に看護師、准看護師の不足も深刻で今後の地域医療を維持するうえで、今ここで策を講じる必要があると判断いたしました。看護師等の就業支援、医療現場のDXや将来における医療データの利活用のためのインフラ整備に支援を行います。また、令和6年度から定期接種に移行される新型コロナウイルスワクチン接種については、高齢者等重症化リスクを低減させるため接種費用を負担支援いたします。加えて、壮年期等の方々への帯状疱疹ワクチン接種費用についても助成いたします。また、国民健康保険被保険者の特定健康診査の受診率は県下においてワースト2位であり、経済的インセンティブとして個人負担を無償化するなど、病気等の早期発見・早期治療を促すことにより今後の医療費対策につなげてまいります。

   いかに健診を受診していただけるか、全庁を挙げて取り組むナッジ理論を活用し創意工夫に努めます。また、全国及び五泉市での主要死因の1位はがんであります。がんの早期発見・早期治療のため検診の積極的な取り組みを図るとともに、今回新たにウィッグ、人工乳房、補正下着の購入等を助成いたします。

   主な事業・施策

     ・地域医療体制支援(看護師等の就業支援、医療機関の電子カルテ導入支援)

     ・国民健康保険被保険者対象の特定健康診査個人負担無償化及び

       壮年代人間ドック費用助成の拡充

     ・高齢者等の新型コロナウイルスワクチン接種費用の一部負担

     ・帯状疱疹ワクチン接種費用の助成

     ・がん患者医療用補正具等購入費の助成

 

   3つ目は、「安全安心づくり」であります。再三申しあげておりますとおり、年初元日の能登半島地震は、市民生活や市民の心に大きく響いております。私は引き続き、政策の一丁目一番地と位置づける防災減災に取り組むとともに、五泉市のみならず全国的に深刻な問題となり、市民の安全安心を脅かす鳥獣被害について、県と連携し防止策を講じます。また、念願の「東南環状線」が今冬に開通を予定しておりますが、安全安心に車両等が走行できるように今後、市道の区画線等の修復を計画的に行います。令和6年度は市内を南北に走る幹線道路に着手いたします。

   主な事業・施策

     ・防災情報等戸別受信システムの実証試験

     ・雨水の出水浸水想定区域調査と区域図(内水ハザードマップ)の作成

     ・耐震改修工事費補助金の拡充

     ・鳥獣被害防止のための緩衝帯整備の助成

     ・道路区画線修復等の推進

 

   4つ目は、「交流活気づくり」であります。私はこの2年間、五泉市の知名度向上のためメディアやあらゆる機会を通してPRしてまいりました。市民の皆さまから新聞、テレビ、ラジオ等での五泉の露出が倍増したとの声が寄せられております。過日地元のお酒や食をイベントとした「阿賀路ごっつぉまつりinラポルテ五泉」では、4,200人の来場があり前年より600人増加し、着実に五泉の交流、活気が醸成しつつあると確信しております。五泉には素晴らしい観光資源と人情があります。日本二大生産地の「ぼたん」、日本さくら名所100選に選ばれる村松公園の「桜」をはじめ、五泉の宝を磨き後世へ輝かせていくため計画的に実行してまいります。また、市民の生活に直結する公共交通「ふれあいバス」の運行時刻を見直し、日中の買い物や用事等での利便性の向上を図ります。特に村松市街地での運行を改善いたします。市民の公共交通に加え、交流促進のための方策を地元事業者等と推進いたします。加えて、五泉市観光協会と連携して市内はもちろん市外、県外、海外への情報発信、宣伝活動を強化し、地域の皆さまや実行組織が持続的にまつりやイベントができるよう、人材育成、リーダーの養成等も含めた支援を拡充いたします。

   主な事業・施策

     ・ぼたん園改修基本計画の策定

     ・村松公園桜樹勢回復事業

     ・移住体験モデルツアーの実施

     ・ふれあいバスの時刻表見直し

     ・観光協会が取り組む観光宣伝、観光誘客促進事業の支援

 

   5つ目は、「将来の安心環境づくり」であります。昨年の夏の異常高温、冬の少雪、短時間での異常降雨・降雪など地球温暖化、すでに地球沸騰化と言われるくらい私たちを取り巻く環境は悪化し、今こそ私たち自身が将来、安心して生活ができる地球環境のため、アクションを起こすときであります。ごみ処理施設の本格稼働にあわせて、令和6年4月からごみの減量化に取り組むため、可燃ごみ収集指定袋の導入や容器包装プラスチックの分別によるリサイクル化を進め、地球環境への意識向上を図り、将来の安心な地球環境保全のため、一歩を踏み出します。また、地球温暖化防止カーボンニュートラルを推進するため、令和5年度に引き続き国の認証制度J-クレジット制度の構築を図り、葛飾区はじめ首都圏自治体の森林環境税の活用へ、五泉市独自として提案し五泉の森林保全に役立ててまいります。また、国が農業分野で推進する「みどりの食料システム戦略」に呼応し、有機農業の実証のため着手し推進します。今後、有機農業、オーガニックの広がりにより、健全な自然環境、社会環境の寄与を検討してまいります。

   主な事業・施策

     ・地球環境への意識向上の推進(燃えるごみ収集指定袋の導入、容器包装

       プラスチックの分別によるごみ減量化・リサイクル化)

     ・カーボンニュートラルの推進(J-クレジット制度の構築)

     ・有機農業の推進

 

   以上の5つの五泉づくりの推進を第一に、また、第2次五泉市総合計画後期基本計画3年目および令和5年度展開した事業・施策のPDCAを活かし、全庁体制で取り組んでいくとともに、今般の能登半島地震等の自然災害の発生や長引く経済の低迷による市民生活への影響など、急激な社会変化への迅速な対応や、将来へ持続するための投資等に、財政調整基金の取り崩し等、財政措置を慎重かつ柔軟に行うこととし、常に健全財政の維持に努めてまいります。

   人口減少等による税収や国からの交付税等の減少が見込まれる中、財源の確保については、今後も足元の課題や、将来、未来に続く五泉市のさらなる飛躍のため力を尽くしてまいりますので、皆さまから一層のお力添えを賜りますようお願い申しあげます。

2 予算の概要について

(1)一般会計

   予算規模は、7会計で428億6,751万7千円となり、19億9,361万4千円、4.9%の増であります。

   このうち一般会計は、25億500万円、10.6%増の261億8,000万円、借換債控除後は8億7,289万2千円、4.0%増の228億8,469万円であります。

   一般会計以外については、6会計の合計で166億8,751万7千円となり、前年度に比べ5億1,138万6千円、3.0%の減となりました。

 

1.歳入

   市税は、令和6年度に実施される定額減税による個人市民税の減などにより4.5%減の50億4,602万8千円、地方消費税交付金は12.1%減の11億2,500万円、地方交付税は0.1%増の77億4,100万円、市債は58.4%増の56億9,501万円を見込みました。

   なお、五泉地域衛生施設組合の廃棄物中間処理施設建設事業が最終年度にあたり負担金が増加すること、及び地域医療の確保を喫緊の課題と捉え看護師の確保と医療のDX化の推進を支援するとともに、新型コロナウイルスのまん延防止に万全を期す必要があるなど、市民の安全安心な暮らしを守る対策を講ずるため、財政調整基金を3億5,000万円繰り入れることといたしました。

 

2.歳出

   総務費は退職手当の増、選挙運営事業の減などにより1.0%増の21億9,932万7千円、民生費はかわひがし保育園改修事業の増、介護基盤整備事業の減などにより2.6%増の78億1,936万9千円であります。

   衛生費は五泉地域衛生施設組合負担金の増などにより22.9%増の34億5,080万9千円、農林水産業費は県営事業負担金の増などにより4.6%増の10億366万1千円であります。

   教育費は五泉東小学校空調設備改修工事や五泉中学校グラウンド整備工事の増などにより10.0%増の19億3,730万8千円、公債費は借換債の増などにより38.5%増の57億5,796万6千円であります。

   また、能登半島地震により被害を受けた小・中学校施設を復旧するため、災害復旧費1,662万円を計上したところであります。

(2)特別会計

1.国民健康保険事業

   予算総額は、歳入歳出それぞれ46億509万9千円であり、前年度対比11.1%の減であります。

   減額の主な理由は、保険給付費の減少によるものであります。

2.介護保険事業

   予算総額は、歳入歳出それぞれ62億3,003万5千円であり、前年度対比1.5%の減であります。

3.後期高齢者医療事業 

   予算総額は、歳入歳出それぞれ6億8,555万円であり、前年度対比16.2%の増であります。

   増額の主な理由は、後期高齢者医療広域連合納付金の増加によるものであります。

4.水道事業

   予算総額は、20億1,528万1千円であり、前年度対比3.6%の増であります。

   増額の主な理由は、建設改良費の増加であります。

5.下水道事業

   予算総額は、31億4,697万6千円であり、前年度対比0.2%の減であります。

   減額の主な理由は、企業債償還金の減少であります。

第2章 具体的な施策について

1 笑顔あふれる いきいきのまち 【いきいきの泉】

(1)子どもたちが明るくいきいきとしているまちづくり

   ICT機器を活用し、主体的に学ぶ姿勢を育むため、引き続き環境の整備に努めるとともに、ICTを活用した教育を推進します。

   一人ひとりの状況に応じた学習環境を充実させるため、デジタル教材を導入し、学習意欲と学力の向上を図ります。

   不登校の児童生徒の居場所づくりと学校への復帰を支援するため、専門の指導員が学習指導や相談などを行う適応指導教室を、新たに村松地区にも開設します。

   特別な支援を必要としている児童生徒に対して、一人ひとりのニーズに合ったきめ細やかな教育を行うため、支援体制の充実を図ります。

   また、地域ぐるみで子どもの成長を支えるため、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動本部の両輪で、引き続き地域と学校の連携・協働を進めます。中学生の地域スポーツ・文化活動の体制整備を推進するため、地域活動コーディネーターを任用し、実証事業に取り組みます。

   小・中学校の整備につきましては、子どもたちが安全かつ快適な環境で教育を受けることができるよう、五泉東小学校及び村松小学校屋上防水工事、五泉東小学校空調設備改修工事及び五泉中学校グラウンド整備工事等を実施し、学校施設の維持改良を行ってまいります。

(2)ともに学び生きがいをもてるまちづくり

   多様化する生涯学習のニーズに応えながら市民の誰もがいつでも、どこでも生涯にわたり学習を継続できるよう支援してまいります。

   生涯スポーツの推進につきましては、市民が笑顔で健康増進・体力づくりを行うため、スポーツ教室等を開催するとともに、地域おこし協力隊を任用し、市民のスポーツ活動を支援します。

   また、交流人口の拡大と地域経済活性化のため、スポーツ大会の開催や合宿等の誘致に取り組み、スポーツツーリズムを推進します。

   スポーツ施設の環境整備では、総合会館中ホール大規模改修設計委託や村松体育館のLED照明整備工事等を実施します。

   (仮称)アーバンスポーツ施設につきましては、基本方針決定に向けて、引き続き取り組んでまいります。

   芸術文化の振興では、市民の主体的な活動を支援するとともに、優れた芸術文化に触れる鑑賞機会を提供します。

   図書館につきましては、市民の知的好奇心を満たすため、魅力的な図書や各種資料の収集・保存に努めるとともに、生涯を通して本に親しむことができるよう、引き続き子ども読書活動推進計画による読書環境づくりを進めてまいります。また、村松地域において図書館から遠方に住む市民が気軽に本に触れることができるよう、移動図書館により市民と行政の距離を縮め、行政情報の提供や図書の貸し出しを継続します。

   文化財の保護と利活用では、引き続き市内に現存する文化財等の保護・保存と啓発を行うとともに、保存団体の支援に努めてまいります。

(3)一人ひとりが活躍できるまちづくり

   高齢者の生きがい創出と生活支援の充実につきましては、高齢者が住み慣れた地域において居宅での日常生活を安心して継続的に営むことができるよう、地域包括ケアシステムの深化を図るとともに、高齢者が地域社会のなかで各種活動に参加しやすい環境を整備し、人と人、人と社会がつながる多様な関係性のなかで生きがいを持って暮らしていくことができるよう取り組みます。

   障がいのある人の自立と社会参加への支援につきましては、障がいのある人が住み慣れた地域で安心して暮らすことができるよう、令和6年度から3年間を計画期間とする「第7期五泉市障がい福祉計画」に基づき、障がい福祉サービス等事業の推進を図るとともに、さまざまな事情からひきこもりの状態になっている人やその家族に対しても、必要な支援を届けられるよう、相談しやすい環境づくりに努めます。

2 信頼あふれる 安心のまち 【安心の泉】

(1)安心して子育てができるまちづくり

   子ども施策の包括的な法である「こども基本法」の理念に則り、子どもたちが健やかに成長できる取り組みを推進するとともに、子育てに伴う喜びを実感できる社会環境の整備に努めます。

   子どもや子育て世代が「まんなか」で、安心して暮らせる「こども ど まんなか ごせん」をスローガンに、新たな取り組みとして、子どもたちが自ら未来の五泉市のことを考え、提案できるよう、小中学生を対象に「こども市議会」を開催します。

   さらに、子どもや若者等の意見を取り入れながら、子ども・子育て支援事業計画を含む子どもに関する複数の計画を一体化した「こども計画」の策定に取り組みます。

   また、引き続き子育て世代包括支援センター「にこにこスクエア」を核とした相談体制により、妊娠・出産期から子育て期にわたり切れ目のない支援を行います。出産サポート登録制度の新設や、不妊治療費の助成、妊娠時・出生時の応援金給付の継続等により、安心して妊娠・出産できるよう支援するとともに、男性の産前・産後サポート事業への参加や新生児パパママ訪問への同席を推進し、育児は父親と母親2人で行うものという意識の醸成を図ります。

   経済的支援としては、児童手当の拡充や物価高騰の影響を受ける給食費の支援、新たに新生児聴覚検査への助成等を行い、子育て世帯の負担軽減を図ります。

   施設整備につきましては、統廃合に伴うかわひがし保育園改修工事、さくら保育園の認定こども園への転換準備を進めるとともに、利用見込みの増加を踏まえ、五泉小学校区に3か所目の学童クラブを開設します。また、すべての子ども、妊産婦、子育て世帯を支援するため、母子保健機能と児童福祉機能の一体的な運営を行う「こども家庭センター」の設置に向け、保健センター改修の設計を行います。

   少子化に対応し、安心な保育環境の持続的な提供や効率的な運営を推進するための保育園等適正配置実施計画について、保護者及び地域への説明を引き続き行います。

(2)健康で安心して暮らせるまちづくり

   健康づくりにつきましては、令和6年度から5年間を計画期間とする五泉市健康増進計画「健康ごせん21(第3次前期)」に基づき、市民自らが生活習慣を見直し、健康づくりや健康管理ができるよう普及啓発に努めます。

   疾病予防につきましては、関係機関と連携し、健康診査や各種がん検診の受診率向上を目指します。

   口腔の健康づくりでは、令和6年度から5年間を計画期間とする「五泉市歯科保健計画第3次」に基づき、全ての年代において口腔の健康づくりの取り組みを推進します。

   自殺予防につきましては、自殺対策計画に基づき、誰も自殺に追い込まれることがないよう、生きることの包括的な支援を推進します。

   食育の推進では、第4次食育推進計画で3つの重点目標を掲げ、その目標達成の扉を開く鍵を「13の鍵」と表現しています。全世代型の食育を推進し、次世代に向けた食文化の保護・継承や食を通じて、市民が健康で笑顔で、豊かな生活の実現に向けた取り組みを進めます。

   高齢者福祉と介護保険の充実では、令和6年度からの「五泉市高齢者福祉計画・第9期介護保険事業計画」に基づき、介護保険事業を安定的に運営し、必要な介護サービスを安心して受けられるよう、サービス基盤の充実を図るとともに、その担い手となる人材の確保等を含めた基盤の整備及び確保に努めます。

   国民健康保険につきましては、被保険者が「自分の健康は自分で守る」という意識を持ち、自分の健康状態を把握し、病気等の早期発見・治療につなげることができるよう、健診の習慣化に取り組んでまいります。

   健診を習慣化するためのきっかけづくりとして、個人負担金を無償化するとともに、働き盛り世代の一部の被保険者に対する人間ドック費用助成の上限を引き上げ、特定健診の受診率向上を目指します。

   後期高齢者医療につきましては、被保険者が健康で自立した生活を長く過ごせるように、引き続き人間ドックの受診費用に対する助成を行います。

   生活困窮者の相談支援につきましては、くらしの支援センターが引き続き支援を実施します。

(3)安全な生活環境を守るまちづくり

   生活環境の保全につきましては、地球温暖化に起因する気候変動による猛暑から令和5年夏の教訓を活かし、市民を守るための「涼みどころ」を公共施設等に拡充設置します。また、五泉市の豊かな森林資源を活用し、地球温暖化の原因である温室効果ガスの吸収源を創出する「温室効果ガス排出削減・吸収推進事業」に取り組みます。

   有害鳥獣対策では、総合窓口である有害鳥獣対策連絡センターからの情報発信に加え、新たに、野生鳥獣の移動経路や潜み場となる藪や放任果樹の刈り払いに対する補助を実施し、県と連携して鳥獣被害の未然防止に努めます。

   水道事業では、地震などの災害に強い施設整備を進め、安全で安心なおいしい水を安定して供給するため、配水管の新設や布設替工事、浄水場の整備を引き続き進めてまいります。

   交通安全につきましては、交通マナー向上の啓発や交通安全施設の整備と併せ、警察署との連携や交通安全協会、交通安全市民の会などの関係機関と協力を図りながら、一層の対策を進めます。

   防犯対策につきましては、警察など関係機関との連携や防犯カメラの活用により、犯罪の抑制に努めてまいります。また、町内会等が実施する防犯カメラの整備や防犯灯のLED化、さらに犯罪にあわれた方への支援を引き続き実施してまいります。

   消費者トラブル対策では、多様化・頻発化する特殊詐欺や通信販売のトラブルなどに対し、専門員による相談や解決に向けた助言、広報を活用した啓発などを行い、引き続き被害防止に努めます。

   冬期間の道路交通につきましては、除雪機械を主体に、県と連携を図り、地域の協力を得ながら安全で効率的に除雪を行います。

   雪寒地域道路整備では、水島町、三本木1丁目に消雪パイプを布設するとともに、赤海地内、三本木地内で消雪用井戸を掘削します。また、村松泉町、長柄町、新町の老朽化した消雪パイプの更新を進めてまいります。

(4)非常時に充分な対応ができるまちづくり

   消防防災施設整備では、消火栓、耐震性防火水槽の設置及び消防団の小型動力ポンプ積載車更新と消防器具置場等を整備し消防力を強化します。

   火災予防対策につきましては、五泉市建築組合の協力と呼応し、住宅用火災警報器の設置促進と維持管理の啓発に引き続き取り組んでまいります。

   救急業務では、救急件数の増加に伴い救急体制の強化を図り、救命率向上に向けドクターヘリの有効利用を進めてまいります。

   さらに近年、全国的に頻発、激甚化する災害に対応するため、引き続き自主防災組織及び防災リーダーの養成・育成を図ります。加えて、防災リーダーが主体となって行う自主防災組織の活動を支援するとともに、関係団体等と連携し、地域での防災訓練を実施することで、地域の防災力の強化を推進します。

   浸水対策では、五泉地区の老朽化している雨水幹線の長寿命化工事を進めます。新たに内水ハザードマップの作成に取り組み、水害に強いまちづくりを目指します。

   また、防災情報を防災行政無線やLINE、あんしんメールなどで配信します。さらに令和6年度は、スマートフォンを所有していない高齢者や障がいのある方など、災害情報を自ら入手することが困難な方への伝達手段として、試験的に戸別受信機を貸し出し、今後の整備について検討を行います。

   災害発生時等において、すべての市民へ迅速かつ確実に情報が伝達できるよう、複数の手段を用いて積極的に取り組んでまいります。

3 交流あふれる ふれあい豊かなまち 【ふれあいの泉】

(1)青少年を地域ぐるみで育むまちづくり

   関係機関と連携し、地域の未来を担う青少年を社会全体で育む取り組みを推進するとともに、青少年育成センターの周知と相談体制の充実を図り、悩みを持つ青少年や保護者を支援してまいります。

   また、家庭教育学級と研修会を開催し、家庭における適切な教育を支援してまいります。

(2)多様な文化にふれあえるまちづくり

   国際化に向けた環境づくりでは、五泉市観光協会の海外への情報発信事業や国際交流団体の活動を支援しながら、多様な文化への理解を深め、さらなる交流を進めてまいります。

4 賑わいあふれる 活気あるまち 【活気の泉】

(1)活力ある商工業を育むまちづくり

   商業につきましては、関係団体が行う経営改善普及事業への支援をはじめ、マイホーム建設や住宅リフォーム、市内で新たに出店を希望する意欲ある起業者への支援を引き続き行います。

   また、大きなイベントを誘致するMICE活動の一環として、9月にラポルテ五泉で開催される「日本商工会議所青年部北陸信越ブロック大会はなのまち五泉大会」へ支援を行います。

   工業では、絹織物業、ニット産業、木材製材業を引き続き支援するほか、地域おこし協力隊を活用した五泉の良いものつたえ隊員から、五泉市の産業を全般的に広く発信し、活性化を図ってまいります。

   金融対策では、中小商工事業者への円滑な資金運用と経営の安定化を図るため、各種制度資金や信用保証料の補給など、金融機関と連携しながら引き続き支援します。

   また、五泉市への再来訪につなげるスタンプラリー等を開催し、市内の各店舗を回遊してもらえるよう、五泉市観光協会ほか関係団体と連携してさらなる取り込みを図ってまいります。

(2)魅力ある農林業を育むまちづくり

   農業は市の重要な基幹産業であり、魅力あるまちづくりの基本であります。

   令和5年産において歴史的な品質低下を招いた高温・渇水への対策を図りながら、一等米比率のV字回復、向上を目指します。

   農産物の振興では、園芸導入の入り口として育苗ハウスを利用した果樹栽培に加え、花き栽培も対象としてモデル事業を継続してまいります。また、チューリップまつり・花木まつりをはじめ、ラポルテ五泉にはチューリップの回廊「ルデフル」を設置するなど、各種イベントの開催を通して交流人口の拡大を図るとともに、特産農作物のPRや販売促進活動に取り組んでまいります。

   東公園のぼたん園についても、関係機関との協議を進め、再整備計画を策定いたします。

   さらに、五泉産米のブランド化、高付加価値化を目指し、省力化技術を導入することにより生産性向上を図りながら有機農業の産地づくりを進めてまいります。

   担い手対策では、次代を担う農業者である新規就農者に対して資金や農業機械等の導入を支援する、「ニューファーマーズ応援事業」を拡充します。また、農業機械等の導入を支援する「強い農業経営づくり支援事業」、小規模農家の経営継続を支援する「がんばる農家営農継続支援事業」を引き続き実施します。

   農産物の鳥獣被害の防止対策では、追払い用花火の提供や電気柵設置の補助を実施するとともに、捕獲用の檻を増設し猟友会や地域と連携を図りながら、被害軽減に努めてまいります。

   農業基盤の整備では、県営土地改良事業として、湛水防除事業の桑山川排水機場が完成いたします。圃場整備では、新関地区で区画整理工事が予定されるほか、若宮地区、五箇地区においても事業を推進してまいります。また、阿弥陀瀬地区、山谷地区、暮坪地区のため池等の整備を推進してまいります。

   農業基盤の維持管理では、多面的機能支払交付金の取り組みを支援してまいります。また、ため池廃止基本計画に基づき順次廃止工事を行い、集中豪雨などの災害に備えます。令和6年度においては、シュンガ入堤、四十九沢堤の廃止工事を実施いたします。

   林業につきましては、間伐や作業道等の維持管理、林道整備のほか、市産材の増産、木材振興を図るため、森林組合の林業機械導入を支援します。

   ふるさと応援寄附金につきましては、積極的な情報発信や受付サイトの拡充により、令和4年度、5年度と寄附額が前年度を上回ることができました。引き続き、マーケティングを駆使して、五泉ブランド品をはじめ、返礼品の充実を図るとともに、五泉市の産業や観光資源を全国へ情報発信し、寄附額と交流人口・関係人口の増加につなげてまいります。

(3)地域の魅力を活かし高めるまちづくり

   観光振興につきましては、五泉市観光協会の事業を推進し、プロモーションの再構築を図り、豊かな自然・歴史文化・食・温泉などの魅力的な五泉市の情報発信の強化を行うとともに、各種イベントの開催や、点を線で結ぶ回遊ルートの開発、首都圏における物販イベントやPR活動に取り組むことで、交流人口の拡大を図ります。また、魅力あるイベントづくりのため、人材、リーダーの養成を支援します。

   また、インバウンドの取り組みは、日本と親和性の高いアジア圏を中心に、五泉市観光協会とともに取り組んでまいります。

   毎年8月に行われる「五泉ひゃんで花火大会」が、令和6年度に第10回の記念大会を迎えます。市民で作り上げるこの花火大会への支援を拡大し、元気な五泉市を内外に広くアピールするとともに、活気あふれるまちづくりを進めてまいります。

   日本さくら名所100選に選ばれている村松公園の美しい桜を未来に継承するため、樹勢回復事業に取り組むとともに、公園内の園路整備を行い、観光スポットとしての魅力向上を図ってまいります。

   ラポルテ五泉につきましては、五泉市の文化や産業、観光のランドマーク及びゲートウェイへと先鋭化し、指定管理者や関係機関と協議しながら各種事業やイベントを実施し、交流人口の拡大と地域の活性化を図ってまいります。

   新たな雇用の創出と働く場の確保につきましては、企業誘致を専門とする産業政策監による企業訪問や誘致活動を継続的に行い、五泉市の魅力を発信するとともに、新たな企業の誘致に向けて取り組んでまいります。

   若者の定住、就職に向けた取り組みとしましては、雇用対策協議会と連携し、市内企業のPRや求人状況の情報提供などを行い、市内の高校の協力も得ながら地元への就職を促進します。

   また、ウェルカムファミリー住まいる事業、グランドファミリー住まいる事業、結婚新生活支援事業に引き続き取り組み、新婚世帯や子育て世帯の転入を促すとともに、若者等の定住促進を図ってまいります。

   Uターン・Iターンの促進としましては、県外に住む人たちが一定期間滞在し、働きながら地域住民との交流などを通じて地域の暮らしを体験できるふるさとワーキングホリデー事業を実施するほか、新たな取り組みとして、移住検討者から実際に五泉市での暮らしを体験していただく移住体験モデルツアーを実施し、移住者の拡大につなげてまいります。

   また、地域おこし協力隊制度を活用し、ホームページやSNSを通じた市の情報発信を強化するほか、移住検討者への相談、支援に引き続き取り組みます。

5 潤いあふれる 快適なまち 【快適の泉】

(1)一人ひとりが快適な生活環境を守るまちづくり

   ごみの減量化とリサイクルの推進につきましては、施政方針で申し上げたとおり、指定ごみ袋による燃えるごみ収集を10月から実施し、また、新たに容器包装プラスチックの収集日を設け、これまで燃えるごみとして収集をしていた容器包装プラスチックを分別して収集することで、燃えるごみの減量化とリサイクルを推進します。

   下水道事業では、土深などの地域で下水道管渠等整備を進めてまいります。

(2)誰もが快適に暮らせるまちづくり

   道路整備としましては、5路線で道路改良事業を行い、3橋の橋梁改修工事を実施します。

   幹線道路の区画線修復等を推進し、通行の安全確保を図ります。

   また、県が実施する都市計画道路「東南環状線」及び「白根安田線」の街路事業などにつきましても連携を図ってまいります。

   公共交通の環境整備では、ふれあいバスと乗合タクシーさくら号が市民の移動手段として使いやすい交通機関となるよう市民の生活、習慣を鑑み、取り組んでまいります。

   また、村松地域と五泉中央病院を結ぶ「通院サポートタクシー」を実施するほか、ふれあいバスの時刻表を見直し、買い物などの市街地内移動の利便性向上を図ります。

   地震時において倒壊等の危険性が高い木造個人住宅の耐震性向上を図るため、診断・改修時の補助の上限額を引き上げ、災害時の被害軽減を図ります。

   空き家等の対策では、所有者等に空き家の発生抑制や適正管理を働きかけるとともに、5年に一度の空き家外観調査を実施するほか、空き家バンクの利活用を進めてまいります。

6 市民協働と信頼による自立したまち 【基本構想・基本計画の実現のために】

(1)市民と行政による協働のまちづくり

   市民、地域および行政が互いに持てる力を発揮して、協力しながら活動できるまちを目指し、町内会や市民団体などの活動を支援して、地域づくり活動の活性化に取り組んでまいります。

   また、ロシアによるウクライナ侵略が未だ終息せず、戦争のない世界が叫ばれています。平和と人権が尊重される社会の形成と、戦争の悲惨さや平和の尊さを後世に伝えるため、毎年8月6日に広島市で開催される平和記念式典に、中学生を派遣します。さらに「平和のつどい」を開催し、中学生が感じたことや、体験したこと、また戦争体験者等からの声を、広く市民に伝えてもらう取り組みを進めてまいります。

   中山間地域における高齢化の進行や人口の減少に対応するため、「集落支援員」を配置している先進地の視察を行い、集落支援・活性化に向けて検討いたします。

(2)効率的・効果的に行政経営が行われているまちづくり

   五泉市では現在、多くの地方自治体が抱える人口減少・少子高齢社会という課題に直面しており、人口減少による税収の減少やごみ処理施設などのインフラ整備により、市の行財政基盤は厳しさを増しています。

   このような状況を踏まえ、第4次行財政改革大綱に基づき、予算や人材など限りある行財政資源を有効に活用するとともに、五泉市DX推進方針に基づくデジタル化の推進により、効率的で質の高い行政運営を目指してまいります。

 

   また、令和6年度から計画期間がスタートする「五泉市特定健康診査等実施計画(第4期)・五泉市国民健康保険データヘルス計画(第3期)」「第3次五泉市生涯学習基本計画」などにつきまして、適正に進めてまいります。

 

   第2次総合計画後期基本計画に掲げる将来像『ずっと五泉。~次の一歩を、ともに未来へ~』の実現に向け、令和6年度は、「新しい着想と発想を、そして情熱をもって、次の一歩、ずっと五泉」にスケールアップし、市民と行政がそれぞれの役割と責任のもと、効果的・効率的に事業を進めていくとともに、将来に向け持続可能な行財政基盤の確立を目指してまいります。

この記事に関するお問い合わせ先

五泉市役所 総務課

郵便番号959-1692
新潟県五泉市太田1094番地1
電話番号:0250-43-3911(代表) ファックス:0250-42-5151

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最終更新日:2024年03月05日