○五泉市男女共同参画推進条例

平成23年3月29日

条例第1号

目次

前文

第1章 総則(第1条―第11条)

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策(第12条―第26条)

第3章 男女共同参画推進審議会(第27条・第28条)

第4章 雑則(第29条)

附則

(前文)

すべての男女は、個人として平等な存在であり、性別による差別的な取扱いを受けることなく、人権と平等が尊重されなければならない。我が国では、個人の尊重と法の下の平等をうたう日本国憲法の下、国際的に連携し、男女共同参画社会基本法の制定など男女共同参画社会の実現に向けた様々な取組が行われてきた。本市においても、推進計画を策定するとともに、市民団体と協働して積極的な推進を展開してきた。

しかしながら、今もなお社会の様々な分野で、性別による固定的な役割分担意識やこれに基づく社会慣行が見られる。また、現今の社会・経済状況の急速な変化にともなって、より充実した就労支援や子育て支援が求められてきているが、現行の制度や慣行はこれを推進するのに必ずしもふさわしいとはいえなくなっており、男女共同参画を推進する上で、多くの課題が残されていることが指摘されている。

本市においては、家族経営的な農林水産業及び商工業等において女性の就業率が高く、市内産業の重要な担い手となっているにもかかわらず、意思決定の場ヘの女性の参画の割合が低い実態が見られる。

こうした状況を踏まえつつ、男女共に自ら選んだ働き方、生き方、子育てができ、個性豊かで活力に満ち、住んで良かったと感じられる心地良い地域社会をつくるためには、あらゆる場で、男女が互いの人権を尊重して認め合い、協力して高め合い、性別にかかわりなく、その個性と能力を最大限に発揮し、心豊かな関係を築いていく男女共同参画社会の実現が求められている。

ここに、私たちは、男女の人権が尊重され社会経済情勢の変化への対応が可能な社会をつくるために、男女共同参画の基本理念と市、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者の責務を明らかにし、これらの協働の下、市民一人ひとりの人権が尊重され、豊かな市民生活とあらゆる分野に参画できる調和のとれたまちづくりを実現することを目指して、この条例を定める。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、男女共同参画の推進に関し、基本理念を定め、市、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者の責務を明らかにするとともに、男女共同参画の推進に関する基本的施策を定めることにより、男女共同参画を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 男女共同参画 すべての男女が、人類の普遍的権利として性別にかかわりなく個人として尊重され、社会の対等な構成員として、自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保されることにより、政治的、経済的、社会的及び文化的利益を均等に享受することができ、かつ、共に責任を担うことをいう。

(2) 積極的格差改善是正措置 前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

(3) 市民 市内に在住、在勤又は在学するすべての個人をいう。

(4) 市民団体 市内において地域的な共同活動を目的として組織されている町内会、コミュニティ協議会等の団体又は社会活動を行う団体をいう。

(5) 事業者 市内において事業活動を行っている個人及び法人その他の団体をいう。

(6) 事業者団体 市内において事業活動を行っている個人及び法人その他の団体が構成員となってつくる農林水産業・商業・工業等の協議会、組合等の団体をいう。

(7) 教育関係者 家庭教育、学校教育、社会教育その他あらゆる生涯教育の領域に携わる者をいう。

(8) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により相手方を不快にさせること又は性的な言動を受けた相手方の対応を理由として当該相手方に精神的、経済的、その他の不利益を与えることをいう。

(9) ドメスティック・バイオレンス 配偶者など親密な関係にある者への身体又は精神に対する暴力的行為をいう。

(10) ワーク・ライフ・バランス 仕事と生活の調和をいい、一人ひとりが、やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活等との調和が保たれ、人生の各段階に応じて自己啓発その他の活動等、多様な生き方を選択及び実現できることをいう。

(基本理念)

第3条 男女共同参画の推進は、職場、家庭、地域等、社会のあらゆる場において男女は平等な存在であり男女の個人としての尊厳が重んぜられること、性別による差別的取扱いを受けないこと、個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

2 男女共同参画の推進に当たっては、性別による固定的な役割分担意識を反映した制度又は慣行が、男女の社会における自由な活動の選択に対して影響を及ぼすことのないよう配慮されなければならない。

3 男女共同参画の推進は、男女が社会の対等な構成員として、市における政策又は事業者、市民団体及び事業者団体における方針の立案及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。

4 男女共同参画の推進は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子育て、介護その他の家庭生活における活動と当該活動以外の活動を両立して行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。

5 男女共同参画の推進は、男女の対等な関係の下に、互いの性に関する理解を深め、妊娠、出産その他の性と生殖に関して、自らの意思が尊重され、生涯にわたり健康な生活を営むことができるようにすることを旨として、行われなければならない。

6 男女共同参画の推進は、国際社会における取組と密接な関係を有していることにかんがみ、人権に関する国際的な同意の到達段階を充分に考慮しつつ、国際的な理解と協調の下に行われなければならない。

(市の責務)

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画の推進に関する施策(積極的格差改善是正措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。

2 市は、基本理念にのっとり、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保及びワーク・ライフ・バランスに配慮し、家庭、地域その他の社会のあらゆる分野において男女共同参画の推進に積極的に取り組むよう努めなければならない。

3 市は、男女共同参画の推進に関する施策を推進するため、必要な推進体制を整備するとともに、財政上の措置その他の必要な措置を講じなければならない。

4 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に実施するに当たり、市民、市民団体、事業者、事業者団体、教育関係者、国及び他の地方公共団体と連携して取り組まなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、基本理念にのっとり、家庭、地域、学校、職場その他の社会のあらゆる分野において、主体的かつ積極的に男女共同参画の推進に努めるものとする。

2 市民は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(市民団体の責務)

第6条 市民団体は、基本理念にのっとり、その活動において、男女が平等に能力を発揮でき、運営又は活動に関する方針の立案及び決定に参画できるよう環境の整備に努めるものとする。

2 市民団体は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の責務)

第7条 事業者は、基本理念にのっとり、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保及びワーク・ライフ・バランスに配慮し、その事業活動において、平等に能力を発揮できる機会の確保や男女共に子育て、家族の介護とその他の家庭生活及び職業生活が両立して行えるよう職場環境の整備に努めるものとする。

2 事業者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者団体の責務)

第8条 事業者団体は、基本理念にのっとり、男女が職場における活動に対等に参画する機会の確保及びワーク・ライフ・バランスに配慮し、事業者がその事業活動において、平等に能力を発揮できる機会の確保や男女共に子育て、家族の介護とその他の家庭生活及び職業生活が両立して行えるよう職場環境の整備に努めるものとする。

2 事業者団体は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(教育関係者の責務)

第9条 教育関係者は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に果たす教育の重要性にかんがみ、家庭や地域との連携を深めつつ、男女共同参画の推進に努めるものとする。

2 教育関係者は、男女共同参画の推進に当たり、児童・生徒の家庭環境やその家庭の労働環境に配慮するものとする。

3 教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めるものとする。

(性別による人権侵害の禁止)

第10条 何人も、あらゆる分野において、性別による差別的取扱い、セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンスその他の男女共同参画社会の形成を阻害する要因による人権侵害(以下「性別による人権侵害」という。)を行ってはならない。

(表現上の留意事項)

第11条 何人も、広く市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者に提供する情報において、前条に規定する行為を助長若しくは連想させる表現又は過度な性的表現を行わないよう努めなければならない。

第2章 男女共同参画の推進に関する基本的施策

(男女共同参画推進計画)

第12条 市長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画推進計画(以下「推進計画」という。)を定めなければならない。

2 市長は、推進計画を策定するときは、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者の意見を反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、第27条第1項の五泉市男女共同参画推進審議会の意見を聴かなければならない。

3 市長は、推進計画を策定したときは、これを速やかに公表しなければならない。

4 前2項の規定は、推進計画を見直し又は変更する場合について準用する。

5 本条例中に言及があるべき目標や理念であっても、定期的に見直しが必要であるような具体的な事柄及び数値については、男女共同参画に関する施策の実施状況を考慮しながら、推進計画中で定めるものとする。

(年次報告)

第13条 市長は、毎年度、男女共同参画の推進状況について報告書を作成し、これを公表しなければならない。

(調査及び研究)

第14条 市は、男女共同参画の推進に関して必要な調査及び研究を継続的に行うものとする。

(広報、啓発活動等)

第15条 市は、基本理念について市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者の理解を図るため、広報及び啓発活動、情報提供その他適切な措置を講じなければならない。

(推進体制)

第16条 市は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的に企画、調整及び推進するために必要な財政上の措置及び推進体制の整備に努めるものとする。

(施策の策定等に当たっての配慮)

第17条 市は、男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる施策の策定及び実施に当たっては、基本理念に配慮しなければならない。

(附属機関等における委員の構成等)

第18条 市は、附属機関等の委員を委嘱し、又は任命する場合には、男女の委員の数の均衡を図るよう努めるものとする。

2 任命権者(地方公務員法(昭和25年法律第261号)第6条第1項に規定する任命権者をいう。)は、女性の職域の拡大及び能力向上の機会の確保に努め、性別にかかわらず、職員の能力及び意欲に応じた登用を図るよう努めるものとする。

(人材の育成)

第19条 市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者は、社会のあらゆる分野での活動に女性の参画が促進されるよう人材の育成及び発掘に努めるものとする。

2 市は、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者における人材の育成等の取組を支援するため、情報及び積極的な学習機会の提供等に努めなければならない。

(雇用の分野における男女共同参画の推進)

第20条 市は、雇用の分野における男女共同参画を推進するため、事業者に対し、情報提供その他必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

2 市長は、男女共同参画の推進に関し必要があると認めるときは、事業者に対し、男女共同参画の状況その他必要な事項について報告を求めることができる。

(教育の分野における男女共同参画の推進)

第21条 市は、家庭教育、学校教育、社会教育その他あらゆる生涯教育の領域において、男女共同参画を推進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(農林水産業及び商工業等の分野における男女共同参画の推進)

第22条 市は、家族経営的な農林水産業及び商工業等の分野において、男女の経営における役割が適正に評価されるとともに、男女が社会の対等な構成員として、自らの意思によって経営又はこれに関連する活動に参画できる機会を確保するため、環境の整備に努めるものとする。

(市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者への支援)

第23条 市は、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者が自主的に行う男女共同参画の推進に関する活動を促すため、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者との連携及び協働に努めるとともに、情報提供その他必要な措置を講じなければならない。

(家庭生活等への支援)

第24条 市は、家族を構成する男女が、共に家事、子育て、介護その他の家庭生活における活動に家族の一員としての役割を果たすとともに、産業形態、就業形態に相応した家庭生活と社会生活の両立が可能となるようにするために必要な支援及び情報提供等を講じなければならない。

(相談窓口の設置)

第25条 市長は、性別による人権侵害について、市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者からの相談を受けるため、相談窓口を設置するものとする。

2 市は、前項の規定による相談を受けたときは、必要に応じて関係行政機関等と連携して適切な措置を講ずるものとする。

(施策に関する苦情の申出)

第26条 市民、市民団体、事業者、事業者団体及び教育関係者は、市が実施する男女共同参画の推進に関する施策又は男女共同参画社会の形成に影響を及ぼすと認められる施策について、市に苦情を申し出ることができる。

2 市は、前項の規定による苦情の申出を処理するに当たって必要があると認めるときは、五泉市男女共同参画推進審議会の意見を聴くものとする。

第3章 男女共同参画推進審議会

(設置等)

第27条 男女共同参画を総合的かつ効果的に推進する上で必要な事項を審議するため、五泉市男女共同参画推進審議会(以下「審議会」という。)を置くものとする。

2 審議会は、次の事項について、市長の諮問に応じ調査及び審議するものとする。

(1) 男女共同参画の推進に関する基本的事項及び重要事項を審議すること。

(2) 推進計画に関し、第12条第2項に規定する事項を処理すること。

(3) 施策に関する苦情の申出に関し、第26条第2項に規定する事項を処理すること。

3 審議会は、前項各号に定めるもののほか、男女共同参画の推進に関し、市長に意見を述べることができる。

(組織等)

第28条 審議会は、15人以内の委員をもって組織し、次に掲げる者のうちから、市長が委嘱する。

(1) 学識経験者

(2) 関係団体が推薦する者

(3) 公募に応じた者

(4) 市長が必要と認める者

2 委員の任期は、2年とし、再任を妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。

3 審議会に会長及び副会長を置き、委員の互選によりこれを定める。

4 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。

5 副会長は、会長を補佐し、会長に事故があるとき、その職務を代理する。

6 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。

7 前各項に定めるもののほか、審議会に関し必要な事項は、市長が定める。

第4章 雑則

(委任)

第29条 この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成23年4月1日から施行する。

(五泉市男女共同参画推進審議会条例の廃止)

2 五泉市男女共同参画推進審議会条例(平成19年五泉市条例第10号)は、廃止する。

五泉市男女共同参画推進条例

平成23年3月29日 条例第1号

(平成23年4月1日施行)

体系情報
第3編 行政通則/第1章 組織・処務
沿革情報
平成23年3月29日 条例第1号